光永寺若院(若住職)
日和 祐敬(ニワ・サチノリ)氏
◆沢川の生活
わたしの生まれは沢川ですが、将来寺を継ぐにあたり、勉強のために東京の本山(ほんざん)に10数年勤め、そこでいろいろな事を学び、将来のお寺の維持に向けて準備をしてきました。そして2年ほど前に沢川に帰って来たのですが、そこでまず思ったのが、20年ほど前と違い、家と人の数が減ったなということでした。限界集落と言われてからも月日がたっていますが、私自身園児の子育てをしながら、沢川に生活しています。たしかに便利とは言えませんが、無理なことではありません。まさに言葉通り、自然とふれあいながら自然につつまれての育児です。
◆五位山地区について
現在、高岡市福岡町の五位(ごい)に昨年新しく出来た、五位山交流館という建物で、指導員をしています。今出てきた五位という地名があるのは、福岡町の市街から五位山地区という山間部に入り、さらにその中の淵ヶ谷という地域にあります。沢川も淵ヶ谷地区に入ります。この交流館は、五位山地区という里山地域と都市部の文字通り交流を進めることが目的です。交流を進めるに当たり、いくつかイベントも行っています。6月には地区産の竹を使った流しソーメンとホタルの観察会、7月にはジャガイモ掘りなどをしました。特に昨年の流しソーメンは初回の試みでしたが、100数十人という、当初の見込みよりも多くの人に集まっていただいたこともあり、うれしい誤算でした。ジャガイモ掘りは、同じ淵ヶ谷地区の小野(この)という地区で特産品であるジャガイモをさらに広めることも目的でした。ゆずを活用していく計画もあります。沢川という地区の盛り上げも大切ですが、五位山という周辺全体の知名度もあげて全域で人の交流を増やしていくことも大切だと考えています。
◆人の交流と村の存続について
沢川をはじめ、五位山という里山地域の魅力を知ってもらい、多くの人の交流を生み出したいと考えているからです。私が東京にいたころは、都会をはなれて地方へ移り住みたいと考えている人が増えてきているという話がよく取り上げられていました。不便だけども自給自足の生活に興味があるという方々です。この地域の知名度をあげることで、そのような方々の目にとまり、将来的には1人でもいいから住んでみたいという人がでてきてくれたら嬉しいです。空き家の活用にも効果があるかもしれません。光ケーブルも引かれていますし、夏の涼しさをいかして、セカンドハウス、別荘のような過ごし方もいいかもしれません。
◆沢川を残したい
今現在、沢川地区に建設が進められているメガソーラーは日本有数の規模で、2年後には完成して稼働し始める予定です。完成すると直接の雇用の創出にはつながらないかもしれませんが、見学などの需要があるならば、その通り道であり最寄りの集落でもある沢川内に直売所が設置されてもいいかもしれません。並ぶのは特産品のお米以外にも地域で趣味で作られている野菜などです。春には山菜もいいですね。公衆トイレも少ないので、そのようなものも付随した公園のような形でもいいと思います。
自然環境のよさを生かした地域づくりをすすめて、その中で人の往来が増えているような姿がいいです。とにかく、沢川を消さないことが大事だと考えています。