しんがい かいもん

へそくり等、とても出来る状態の家計では無かったと思います。

澤川では、そのへそくりが、しんがいぜんに当たるかもしれません。

冬、炭二俵(八貫)を背中に担いで、石動の炭問屋さんで、現金にしてもらい、日頃から、欲しかった日用品等を買って、日帰りしたのでした。

道順は、西明寺から向田、田川、でした。雪崩の危険も有り、命がけでした。

 

 

 

「いきみちの心配も、落ち着いたようじやし、「喜蔵」のおかと、「まぐざ」のおかと三人で、かいもんに、いってくるさかいに、ならの丸の上、二俵くさいせぇの」

 

「二俵でも、三俵でも、やれど、ひどいのう、あさぎり、はよらと、みちぁ、のみらん先に、西明寺まで、でんならんぞう、休んでいかんならんぞう、「くずろのちょよのやすん場」「一の橋の欄干」「がらむき」「二又の欄干」「とったんむね」「とったんの一軒家」西明寺」「上向田」「田川」、一番弱そうなもんに合わせんならんぞ、ぜんな残らんでもよいさかいに、好きなもん、こうて、きさっされ」

 

「多賀」の醤油屋さんで、やくみし、食べさしてもろたわいし、糸、針、ツバキ油、櫛、足袋、真鍮磨き、洗面器、ままぐいからつ、下駄、子供の雑誌、膏薬、いろんなもん買わいて、もろたわいし、林檎もあれど、病人用じゃさかい、またいしといてくさいせ、あぁだやかったれど、又、いってこんならん」 

 

おしまい